取材側のお話
- 2016/12/25 01:12
HONGO PRESS、二回目の取材を終えました。
HONGO PRESSの記事は、新聞記事で言えば「人もの」
というカテゴリーになります。
人を取材し、その人を書く記事です。
取材相手は取材するまでよく知らなかった人。
1,2時間の取材を通じて知る努力を尽くします。
取材材料だけで昔から知っているかのように、その人を書こうと
するのですから、そこには「無理」があります。
その「無理」を可能にするのは、その人を思うエネルギーだけです。
HONGO PRESSに登場する人々は、有名人ではありません。
インターネットで情報を集めることもできません。
情報は、取材の現場にしかありません。
初対面での挨拶、その時の表情、歩き方。
雰囲気の出し方。イスの座り方、私を見るときの目の動き、手の動き。
声。話の間。他のスタッフさんのその人への接し方、その人からの接し方。
1,2時間の取材で見たもの、聞いたもの、感じたことを全て材料にして、
ひたすら想像を巡らせて書いていきます。
彼が
「早く現場代理人になりたくて、資材置き場で一人残業した。楽しかった」
と言いました。そう書きます。
見たこともない資材置き場。雑然と資材や重機が並び、周囲は真っ暗。電灯の光の下で、黙々と何か作業をしている。その状況を頭の中に描き、深夜まで一人働いている目の前の彼の背中、表情を想像しながら、「楽しかった」と聞いたけれど、自分に不安になったり、うまくいかなくていら立ったこともあったろう。そんなとき、深夜、家に戻り、子供の寝顔を彼はどんな思いで見ただろう。様々に想いを馳せ、人物像を固めながら文字にしていきます。
「石山の居酒屋で顔を合わせた」
そこが彼の人生ドラマのターニングポイントですから、とても重要なシーンです。石山の居酒屋を想像し、真剣な3人の男の姿を表情を、その時、三人の胸の内に去来しただろう色んな思いを想像します。
「人もの」って実は感情、心をとても使って書くので、書き上げたときには、エネルギーを完全燃焼したような脱力感を覚えるし、記事の中の彼に対して、まるで長年の親友に出会ったようにも感じるものです。
ですから、本郷工業のみなさん、HONGO PRESSの取材後、私がなれなれしく声をかけたりしても、決しておかしな奴とは思わないでください。